ウメボーシのオカユー

イタリア人とのミックスの娘は私と違って胃腸が強い。赤ちゃんの頃からお腹を壊すということが殆どなかった。パスタでも肉でもピッツァでも、私にはちょっとシツコイくらいのものでもぺロッと平らげ、おまけにちっとも太らない。所詮、魚の塩焼きと白いご飯で育った淡白な味を好む私とは胃腸が違うらしい。

そんな娘が生まれて初めてインフルエンザで熱を出し、下痢をし、食欲がなくなったのは、3歳の時。

姑は「こういうときはパスタ・ビアンカよくゆでたパスタに少しだけオリーブオイルをあえて食べさせるのよ」と言う。
ええ!?こんなに食欲のない時にパスタ?私は首を傾げる。娘にそれを食べたいかと聞くと、案の定
「食べたくない」。うーん。あ、そうだ。この間母が日本から美味しい梅干を送ってくれたっけ。冷蔵庫の梅干の小さな瓶を引っ張り出して、米を研ぎ、シンプルな「おかゆ」を作る。
お茶碗に粥を注ぎ、真ん中に
梅干。中華街で買った陶器のレンゲを横において、トレイをベッドまで運んでいった。

初めて「おかゆ」なるものを見て、娘は「あっ、ニッポンのハタみたいだー」と喜んだ。一口味見をした娘は「おいしい」と言って
笑顔を取り戻した。「こんなにおいしいの、どうして今まで作ってくれなかったのー!」と言われ「え、だって、おかゆって病気した
時に食べるものだから」と私は答えた。娘は「じゃあ
時々病気になろうかな!」と言い、私達は大笑いした。

おかゆを食べて娘はすぐに元気になった。やっぱり半分日本人なんだなあ、と私は妙に嬉しかった。
それ以来、病気ではなくても時々彼女は「
おかゆ」を食べたがる。
スローフードのメッカのイタリアだけど、口をすぼませて梅干を含みおかゆを啜る娘は、ソファより
コタツの方が似合うみたい。
ついでに旦那までもが「
ウメボーシのオカユー、ペルファヴォーレ!!」などと言う。

おかしな我が家では私は朝カフェ・エスプレッソだが、旦那は緑茶娘はココア。そして夏ともなると、細麺カッペッリーニをゆでたイタ風そうめんミックス家族も悪くない。

 

 

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